病気になるとやはり情報が欲しくなります。そして色々な方法で情報を調べますが、とりあえずネットで検索する人が多いのではないでしょうか。
しかし、個人的には、ネットでの情報はメリットも多々ありますが、気を付けないとメンタルへのダメージが大きくなる場合が多々あります。
また、自身が専門家でない事項について、独学で過度な情報収集をすること誤った理解につながる場合もあります。
まずは、主治医や場合によっては病院内のがん相談支援センターなどで良く相談し、おススメの本や資料あれば教えてもらって基本的なことを知っていくことが大切なのかなと思います。
そのため、この記事では、僕が発病後に実際に行った(というかパソコンとかスマホもってて情報集めようとしたら大体みんな行うであろう)情報収集について記載していきます。
あくまで、『僕はこう考えてこうしている。』ということなのでご参考までにご覧ください。
情報収集(ネット検索など)をするにあたって注意すること
病気になってから検索したりすると、どうしてもネガティブな情報が目につくようになります。
例えば、ネット上で生存率とか調べて出てきた論文を見ると、自分に都合の悪い生存率とかだと予後不良因子に目が行き、予後不良因子がいくつかあると、それがどれくらい影響するのか不安になったりします。
(成人というだけで予後不良因子になるってどういうことw)
けれど、その予後不良因子がどれだけ再発や転移に影響してくるかというような情報は基本的には(お医者さんの中ではあるのかもしれませんが)出てきません。
そうすると、関連する論文だったり他サイトだったりをみたり、ブログを見たりして不安のループに陥るということがあります。
このあたりは、『ネガティブな情報が目につきやすい』ということを認識したうえで、そもそも何を調べるのかを明確にしたうえで調べるのが良いのかなと思います。
何となく漠然とした不安があって、病気の情報を調べようとしてしまうときがあるのですが、それは個人的にはあまりおススメしないかなと思います。
情報収集方法(おススメ度5段階評価)
※僕が情報集めるときに実際にやったことの中からの感想なので、もっと良い方法や、良いサイトなどもあると思います。
おススメ度は、あくまで、初発のがんで情報を集める場合のおススメ度です。
例えば再発や転移等があって、標準治療以外の治療方法や治験等を調べたい等、別の目的がある場合は、論文を読むことや海外の治療情報を見ることなどは大きく有用だと思います。
が、初発の場合はまずは標準治療+自分のできる範囲で食事や生活改善等を行う&メンタルを良い状態に保つというのが一番だと考えています。
※ユーイング肉腫は標準治療以外の情報が少なすぎて、標準治療以外を調べようとすると、論文や専門家向けのニュースを読むような感じになってきます。
一応、個人的にネットで調べられる範囲についてはまとめてあるのでご参考に。
ursusvirtus3.hatenablog.com
先生(主治医)とよく相談する(おススメ度★★★★★)
なにはともあれ、病気のことは専門の先生に聞くのが一番です。論文やデータは抽象化されていますが、先生は実際に治療してきた経験があります。
もちろん、即座に明確な答えが返せないこともあるとは思います。
例えば、なんでも聞くって言ったって、『僕は治らないんですか!?』とか聞いたら答えられるわけがありません(笑)
また、希少がんのばあい、専門の科の先生でないとすぐには分からないこともあると思います。
けれど、先生との信頼関係を築いてしっかり相談すれば、調べてくれるし色々考えてくれれると思います。
逆に、(あまりいないと思いますが)聞いても全然教えてくれないし知らないような先生だったり信頼性に疑問があるようなら、セカンドオピニオンとかの出番になってくるのかなと思います。
ただ、まずは不安なことや気になること等は主治医に相談して対応していくことが治療に当たっては重要だと思います。
専門サイトの閲覧・関連論文等を読む(おススメ度★★)
基本的な理解については、がん情報サービスやがんプラスなどのは信頼性も高く、サイトが分かりやすくまとめてくれているので、最初の段階で調べるのにはとても役に立ちました。
がん情報サービス HOME:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)
がん治療の最新情報を届けるがん情報サイト|がんプラス (qlife.jp)
ただし、もっと細かい情報を知ろうとすると基本的には基本的にはお医者さんや医療従事者などの専門家向けに書かれている記事や論文を読むことになるので、内容的に難しいことが多いです。
最初の頃は治療法色々と調べたり、場合によっては論文を読むこともあるとは思いますが、ヨーロッパとアメリカで標準治療が違うこと、ヨーロッパとアメリカの大規模比較(VDC-IEが優位)は日本での標準治療化時期(2011年頃)と近い時期だったことなどを勘案しながら読まないと混乱することになるので注意が必要です。
また、当然ながら客観的な分析のため(医療の進歩のため)に書かれているものになるので、単独の実際症例や、落ち込むデータや記述も結構出てきます。
実際は、希少がんの場合症例数が少ないとかもあるのでそのまま当てはまるというわけではないのですが、マイナスな記述を見るとやはり落ち込みます。
僕でいえば例えば、ユーイング肉腫への重粒子の効果を調べていたときは、論文見てたら再発率60%以上みたいな記述があり、重粒子線を選択するか悩んでいたら
論文のデータみるとユーイング肉腫への重粒子線治療行った例が3人とかでした(笑
これだと統計的な意味で効果は分からないですよねw
また、成人(40歳以上)は生存率が極端にさがるというような論文もありましたが、良く読むと、同じようにそもそもサンプル数が少ないことと、元データの治療した人が60歳以上とかで、そもそも標準治療等を若者と同じように十分にはできないといった事情があったりしたということもあります。
そして、これ結構重要なんですが、実際に先生に聞いてみると、ネット情報とは全然違った(意外と良い)答えが返ってくることが多いです(笑
つまり、なにが言いたいかというと、
どの分野でもそうですが、専門的な事柄は、その分野の知識を持って、統計や論述の意味をしっかり理解した上で参照しないと生半可なだったり間違った理解となりかえって混乱のもとになるということです。
調べるのは良いとは思いますが、自身が医学などの専門家でないことを理解し、それに一喜一憂せず、盲信もせず、どうしても気になるならその論文や記事を印刷して先生に確認するなどすれば良いのかなと思います。(あまり頻繁にやると嫌がられると思いますがw)
個人ブログ:日記形式のもの(おススメ度★★~★★★)
病気になって、闘病のブログを書いている人は結構います(このブログもそうですが)
傾向としては、治療の日々の日記が多いように思います。
その中で、実際の治療薬や、病気に関連した情報を多く発信してくれているブログもありますし、完全に日記に近いブログもあります。
情報収集という面からみると参考になるものもあれば、その人の治療の日々の大変さは分かる(共感できる)けれど、実際の治療生活において知りたいことはあまり書かれてないものもあるという感じです。
これはブログの性質上そういうものなのであって、後述のSNSも基本的には同じです。
希少がんの場合には、情報的な意味で参考になるブログを探すのは中々大変かな~という感じなのでおススメ度は低めになってます。
ブログで情報収集すると亡くなった方のブログが多い気がする
ブログまとめサイトなどから病気のブログを見ていくと、主観的には、亡くなった方のブログがどうしても多く目立つように思います。
これは生存率低めの病気にかぎらず、5年生存率80%とかの病気のブログでも同様の傾向があります。
最初は、病院では生存率高いって言われたけど、実はもっと生存率低かったりして治る可能性低いのではないか。とか悩んだり、
自分は予後不良因子もあるし、亡くなった方のブログに自分に似た記載がある。大丈夫かなとか不安に駆られてりもしましたが、
これ、なんでかなと考えて僕個人としての結論は、単純なはなしで、
治療中の人の多くはブログやってないし、そもそもブログ継続するのって結構大変だから途中で更新しなくなる人多いし、治った人はブログ継続しないことが大半だからではないかということです。
(また、病気以外の人が見るときに、『亡くなった方のブログとかの方が見られやすいため、検索上位にはそういったブログが多くあがる』のではないかと個人的には思っています。亡くなった方の闘病の日々のテレビ特集が視聴率良かったりするのと同じような感じ)
闘病ブログって、基本的に闘病の日々を綴っていくわけだから、治療が完了して経過観察入って順調だと書くことなくなるんですよね。
経過観察の診察やCT撮影とかは2~3か月から場合によっては1年に1回とかですし、ネタが無い(笑)
マメな人だと日々の活動を更新するかもしれませんが、そもそも闘病のために始めたブログなので更新止まったり削除したりする場合もあるわけです(ブログ残ってたら病気の時のこと思い出して嫌だってこともあるかもしれません)
希少がんの場合、まず同じ病気の人が周りにいません。
また、希少がんでない場合も患者は基本的にはやはりご高齢の方が多いため、意外と同年代の人がいなかったりすることもあるかと思います。
そんなとき、同じ病気の人と(ネット上で)繋がったり、病気の情報を収集するのにSNSはかなり役に立ちました。
実際に治療を行ってる人達の状況をみられるので参考になります。また、細かく治療内容や副作用、日々の過ごし方を投稿してくださっている人もいます。
僕は同病の方で治療経過や副作用など詳しく投稿してくださってる方いて凄く助かりました。
その経験からこのブログ作った感あります。
ユーイング肉腫は希少がんですが、X上には10人近くいらっしゃいます。
また、Xは匿名でアカウント登録できるので、実際の生活上では吐き出せない愚痴等も投稿できるのはメリットとしてあると思います
匿名アカウントなので自分のことを投稿する必要もありませんし、情報収集のみにつかうこともできます(もちろん、闘病アカウントとして色々発信しても良いと思います)
自分より病状の軽い人等を見ると、(意図せずして)妬みのような感情や、落ち込んでしまうこともあると思いますが、そういった場合は見るのを止めるということができます。(リアル生活だと一度知り合いになってしまったりすると中々難しいですよね)
(なお、そういった妬み等の感情が出たとしても自己嫌悪に陥る必要はないと思います。それは、どうしても発生してしまう自然な感情だと思います。)
要は、自分の自由にできる(鍵アカにしても良いし、嫌なら止めても良い)のはメリットとして大きいと思います。
ネットのニュース記事等を見る(おススメ度★★)
ここでは、Yahoo!ニュースとかに出てくるがん患者関連の記事をみたりすることを念頭に置いています。
がんの情報を調べていると、検索サイト側で傾向を調べているのか、がんに関連する記事が結構でてきます(笑
参考になる記事も多いのですが、個人的な印象としては
お亡くなりになられた方の記事が多い
という印象があります。当然、ある日がんが発覚し、辛い治療を乗り越えたけれど再発し、自分らしく生きてお亡くなりになった。みたいな内容が多いです。
その記事自体は病気の啓発や、その方の生きた証としても意義のあるものだと思いますが、病気の情報集めという観点からみると、得られる情報は少なく、メンタルはダメージを受けるということになります(笑
また、有名人ががんを克服した記事(または治療中の記事)もありますが、
内容的には、具体的に役立つことは少なく、保険適用外の免疫療法でなんとかなってるとか、医療費が高くて大変だった(なのでがん保険入ろう)とか、『いまこんなかんじです。』というXとかブログの一部切り抜き的な記事が多くあまり参考になりません。
保険適用外の治療は、収入のある著名人だからできるんでしょうし、医療費は高額療養費の制度とかについて詳しく説明されているものはほぼありません。
仕方ないことですが、有名人に関するものについては広告的なものが多いイメージです。
もちろん、有用な記事もたくさんあるので全てがダメというわけではないですが、情報収集という意味ではちょっと難点があるかなという印象です。
youtube動画などを観る(おススメ度★~★★★★:どう観るかによって大きく変動)
ホントにピンキリです。
怪しげな動画(極端な食事療法や抗がん剤治療の否定など)もあれば、がん患者のVLOG(ブログの動画バージョンみたいなの)、がん患者本人が色々情報発信しているもの、お医者さんが発信しているものなど、ほんとに色々あります。
参考になるものもあればヤバいものもありますし、まさしく玉石混淆といった感じです。
ややこしいのは、お医者さんが言ってるからといって信じて良いかというと難しいというところです。実際主治医とかに確認すると難色示されることもあったりします。
そこで、主治医ではなく動画の投稿主の方を信じるようになるともう混乱の極みです(笑
なので、自分の中で理解や生活方針が定まったうえで参考に色々見ていくのは良いと思いますが、初手から動画で情報収集はあまりおススメしません。
そして、がん関連の動画を観ていると、Youtubeのおススメ動画が、がん関連動画ばかりになります。(笑
特に多く出てくるのがVLOGと、亡くなった方のテレビ番組の特集です。
後者は治療中の身としてはサムネイル見るだけでも結構メンタルにくるので避けた方が良いと思っています(笑)
個人的には、免疫力高める系の患者本人や医者の動画は参考になることが多かったです。
あとは、(動画以外でも)病気に限らずですが、極端な主張や、『○○(常識)は間違っている』といった主張は基本的に疑ってかかるのが良いという考えでみています。
以上、だらだら書き連ねましたが、冒頭に書いた通り情報収集は諸刃の剣になりかねないですし、過度な情報収集は誤った理解につながる場合もあります。
まずは、主治医や場合によっては病院内のがん相談支援センターなどで良く相談し、おススメの本や資料あれば教えてもらって基本的なことを知っていくことが大切なのかなと思います。