がん(ユーイング肉腫)治療記録&関連事項備忘録

100万人に1人と言われるユーイング肉腫(希少がん)の治療中のギリAYA世代♂です。同じ病気や、がんになった方の参考までに病気の治療記録と、病気関連の情報の紹介をします。基本的には自分が体験したことなどです。基本方針など詳しくは「このブログについて」をご覧ください。

関連記録13『重粒子線治療(骨軟部)についての概要と実際の治療の流れなど』

骨軟部への重粒子線治療とは

 

概要と経緯

放射線よりも粒子の重い重粒子線(炭素イオン線)を使って腫瘍を殺す治療

ユーイング肉腫等の骨軟部の腫瘍の場合(他の腫瘍もそうだろうけど)、切除しきれるものは原則的に外科的手術が一番良いとされています。

しかし、部位によっては切除できない腫瘍もあります。

その切除できない腫瘍に対して既存の治療では得られない好成績が出たことから、保険適用になったものです。(骨軟部については2016年頃から

いわゆる高度先進医療であるため、保険適用にならないと約314万円かかる。(僕が治療した施設の費用です。~500万位のところもあるみたいです。)

中曽根元総理の肝入りで研究開発がすすめられ、世界でも日本が一番進んでる分野らしい。(世界15か所しか重粒子線治療できる施設がないが、7か所が日本)

詳細は下記サイトなどが参考になります。

重粒子線治療とは - QST病院(旧放射線医学総合研究所病院)|重粒子線治療(がん治療)

重粒子線治療とは | 重粒子線治療ガイドー医療従事者の方へ (particle.or.jp)

重粒子線がん治療とは|重粒子線治療とは|大阪重粒子線センター (osaka-himak.or.jp)

群馬大学医学部附属病院 重粒子線医学研究センター (gunma-u.ac.jp)

日本の粒子線治療施設の紹介|情報提供|公益財団法人 医用原子力技術研究振興財団 (antm.or.jp)

2024/3/28追記

保険適用の条件

詳しい条件は現段階では調べて出てきませんが、骨軟部の場合、一般的には

①切除困難(部位)であること

②転移がないこと

③大きさがおおむね15cm以内であること

であるようです。

僕の場合、左肩甲骨全摘出か、全摘出でも切除しきれない可能性が高いため保険適用となった模様。

 

重粒子線治療の特徴(X線治療との比較)

重粒子線センターでもらった資料に記載されてるものから。

 

局所:照射範囲の腫瘍制御(再発しないこと)は約6~8割。

ユーイング肉腫は放射線感受性が高いため、8割に近い方だと思うとのこと(事例が少ない)

 

 

実施前に、主治医に【外科手術(肩甲骨全摘出)と重粒子線で予後はどれくらい違うのか?】を確認した。

 →大きな違いはないと思う(重粒子線の局所制御8割の話)が

肩甲骨での比較データ等が存在するわけではなく、ユーイング肉腫に重粒子線を行った症例も少ないため、数字での相違は分からない(言えない)とのことだった。

 

参考①

ユーイング肉腫に対する重粒子線照射の3局所制御率53.5%の論文あり。

201020018A0005.tif (niph.go.jp)

※1995年の治療データ。事例は5件と少ない。

 

参考②

骨肉腫に対するデータであるけれど、骨軟部への重粒子が保険適用になる根拠的なデータ(論文)ぽいもの。

切除困難部位の骨肉腫等に対して、手術に次ぐ根治的方法として有望とされています。

(局所制御率に比して生存率が低いという事は、同箇所再発ではなくて転移とかそういったものなのか?)

 

QST病院下記HPより

骨軟部腫瘍に対する重粒子線治療について|今井礼子 - QST病院(旧放射線医学総合研究所病院)|重粒子線治療(がん治療)

体幹部骨肉腫で5年局所制御率62%、5年全生存率33%というものがある。

これ、低くね?と思うけれど、元論文や上記を紹介しているものを見ると、78例のうち61例が骨盤部の骨肉腫。

これまでは切除可能な体幹部骨肉腫で手術を含む治療成績は5年生存率が22%~44%。切除不能な場合0~30%だったらしい。

つまり、手術と同等の効果が出てるっていうこと=他の部位も手術した場合と同等に近い効果が見込めるという解釈ができるのではないか(僕個人の解釈です)

切除不能体幹部骨肉腫に対する重粒子線治療の治療成績が報告されている。放射線医学総合研究所で治療した78症例(骨盤61例、脊椎・傍脊椎15例含む)の遡及的解析では、局所制御率は2年で73%、5年で62%、全生存率は2年で58%、5年で33%であった。

とくに、臨床標的体積が500㎤未満と腫瘍サイズが小さい38例では、5年局所制御率は88%、5年生存率は46%と良好な局所効果および生命予後への寄与を示した。

これまで既存の報告では切除可能な体幹部骨肉腫症例の手術を含む治療成績は5年生存率が22%~44%、切除不能体幹部骨肉腫症例では5年生存率が0~30%とされており、重粒子線治療が切除と匹敵する治療成績を示したといえる。

RADIOSOTOPES,64,427-431(2015)12臨床例-適応疾患と治療成績(4 骨軟部腫瘍より引用2015 Vol.64 No.6 特集 清原浩樹 (jst.go.jp)

 

他の特徴

ビームをより集中できる:病気を狙いやすく、周囲の臓器を避けやすい

腫瘍をより殺すことができる:X線と同じ線量だと約3倍前後の効果

 →この二つは、重粒子線の場合、腫瘍の部分で止めて出力を最大にできるという特徴があるかららしい(X線だと透過するので腫瘍回りや前後も影響する)

治療期間が短い:全16回で約4週間。陽子線や放射線だともっと回数多かった気がする。

照射中の自覚症状が楽:痛い・熱い・眩しいなどがない放射線はあるの?w)

広汎な病変は治療できない(~15cm前後まで)

 →転移がある場合も適用外になるらしい。(伝聞)

治療開始までに時間が必要。位置合わせに時間がかかる(1回30分~60分)

重粒子線治療の副作用

同じく、もらった資料から

皮膚/粘膜:日焼けのような反応

 →ほぼ全員でる。多くの場合は発赤、かゆみ・色素沈着程度

ただし手術後の創傷や植皮後の部位は強く反応が出やすい

神経障害:しびれや麻痺が生じ、長引くこともある。

特に腕神経や座骨神経、脊髄などは重篤なことがある。

→僕の場合、腫瘍が前方にも膨出してるので、腕神経に影響があるかもとのこと。

骨、間接に骨折や機能不全が生じることがある。

近い臓器がある場合には、照射に伴う影響(炎症・出血等)がある可能性

→僕の場合は、肺に近いため、肺炎や咳の症状が出る可能性。

 

治療の準備

固定具の作成と診察

重粒子線の場合(陽子線もらしいけど)、腫瘍のところで出力最大にするとか、なんか色々な都合上、治療中は基本的に動いてはいけないということで、固定具を作成しました。

基本的にはMRIとかCT撮るときの土台(以下、簡易ベッドと便宜的に書きます)みたいなやつに寝て照射することになるので、簡易ベッドの上に設置された謎の近未来的素材の上にうつ伏せで左腕だけ上げた状態で位置取りを行いました。(要は、左腕を枕にして顔を右に向けて寝たような状態。)

謎の近未来的素材は、水をかけると柔らかくなる性質があり、一定時間経つと固まるらしい。

そのため、位置確認したあとは、技師さんたちが長さ約1m80cmくらいある素材にひたすら霧吹きのようなもので水を掛け、中に水分が浸透するようにブっ叩くという先進医療とは思えないアナログパワーな光景が繰り広げられていました(笑)

そのような技師さん達の苦労を経て簡易ベッドに設置された素材の上に寝ころび、さらに上から熱い巨大はんぺんのようなものを上半身に被せられて型取りを行いました。

診察は、がんセンターで撮影したPET画像見せてもらいながら詳しい治療計画の説明と同意書へのサインでした。

CT・MRI撮影(12月6日。CT画像あり。苦手な人注意)

簡単な経緯

固定具作った2日後に再度重粒子線センターへ行きCTとMRI撮影

CTは、固定具を付けた状態で撮影(固定状態の微調整と、治療時の基準にするため)

固定具はホントにがちがちに固定されて、全く動けなくてすげえなと思いました

 

CT画像(腫瘍の画像なので苦手な人注意)

重粒子線治療終了時にもらった資料(の一部をスマホで撮影したもの)ですが、こんな感じの範囲で照射しましたよっていう画像です。色が赤に近い方が線量が多いとかなんとか。

僕の場合、左前の方にも腫瘍が強く集積していて、左側が膨れ上がってるのと肩甲骨が無くなってるか見えなくなってるのが分かりますね。

 

治療の開始

呼び出されて専用のドアから重粒子線設備があるブースへ移動。ちょっと近未来ぽくて楽しい。

僕の場合は左の肩甲骨に腫瘍があるので上半身裸になり、先日作成した方を載せたベッドにうつ伏せに寝る→固定具を装着され準備完了

このとき、固定具はかなりきっちり締め付けられるので、技師さんと対話しながら寝やすい環境構築が大切。&(上半身の場合)満腹で行くと大変な目に合うので、固定具を作成した時と同じくらいのお腹の感じで行くのが良い(笑)

あとはホントに寝てるだけです。ベッドが角度変わったりして位置調整をする時間が10~20分くらい。

治療自体は5分~10分くらいで終わる。

マジで寝てるだけなのでこれでいいのか?と若干不安になりました(笑)

先進医療の偉大さを体感しつつ初回完了。2回目以降も位置調整の時間の違い等はあれど基本的にほぼ同じ✨

一応、身体固定したあとは、急に動いたりすると位置ずれちゃうから動いちゃダメだし、眠らないでとは言われます。(じゃあオルゴールで曲流さないでよとは思いましたがw)

動けない状態で顔とかがカユくなるつらいものがありましたが、我慢してれば治まります。

治療終了後

治療終了後は、基本的には帰宅するだけ(支払いは、治療全部終わってから最終日なので何も発生しない)でした。

16回の間に、重粒子線センター内で治療後の診察が2~3回(患部の状態や、皮膚炎の状態確認)、本館で血液検査1回(僕の場合データが11月のものだったため)、最終日前日に本館の重粒子線外来で診察1回があり完了という感じ。

最後の外来診察で、次回の経過観察の診察日程予約と、改めて治療の副作用(皮膚炎等の説明など)を受ける感じでした。

 

なお、事前にも説明はされていましたが、重粒子線当てたらすぐ腫瘍が消えてなくなるわけではなくて、場合によっては数年かかって消えていくのでしこりみたいなのは残ることがあるとのことでした(4/8現在で左肩にしこりみたいなの残ってますし、肩の腫瘍が減って左肩の形が変わるのも実感してます

 

皮膚炎は、抗がん剤を投与すると一時悪化しますが、炎症が大きく悪化することはなく、重粒子線終了から1カ月半後にはほぼ治りました(これは個人差あり)

重粒子外来診察

診察は、状態の確認と気になってたことを質問させてもらった感じです。

・肩の一部にしこりのようなものは残っていること

(触診のうえ)重粒子線の場合、すぐに腫瘍自体が消え去るのではなく徐々に無くなっていく(場合によっては数年かかる)ため残っているものではないかとのこと。

 

・左肩の腫瘍が明らかに減少して肩の形変わってきてることについて

上記のように、通常はすぐに減少するものではないが、抗がん剤も現在行っているので相乗効果的な感じで大きく減少してるのではないかとのこと。

 

・長時間PC作業や運転のように腕を軽く上げた状態の作業が続くと左手に少し痺れがでること

腫瘍が減った分、骨も再生はしてきているがすぐに完全になるのではないので、その影響もあるのかな?継続するようなら要観察だけど、すぐ治るならそこまで問題ではないと思うとのこと。

 

順調にきているようなので大丈夫だと思うけれど、重粒子線照射した周辺部に腫瘍が発生する場合もある。そのような場合はそこだけ追加で照射とかもできるらしい。

 

CTとかMRIをがんセンターで撮影したか聞かれたけれど、がんセンターでは抗がん剤終了間際まで撮影予定ない旨伝えると、じゃあそれに併せて次回診察予約しましょうということで、次回は抗がん剤終了時(仮予約)で終了✨

一応、肩の状態は適宜確認して、がんセンターの先生から重粒子外来に予約より早めに行くよう指示とかあった場合は別途調整することに。

保湿のための軟膏を処方してもらう

そのほか、重粒子線照射したところの皮膚炎確認されたけれど、3月頭にはほぼ治ってて、抗がん剤を投与すると赤みがでることを伝達。

軟膏処方するか聞かれて、要らないと伝えたけれど、照射部分の皮膚は基本的にはずっと保湿など気を付けた方が良いとのこと+甘く見て炎症から膿が溜まって大変なことになる人もいるとのことで、持ってても損ないから処方してもらうことに。

塗る軟膏(べたべたするし使いにくいんだよなあ)かと思ってたら、泡タイプの保湿剤を処方されました。

 

以下、進展、変更あれば追記していきます(2024/4/16)