がん(ユーイング肉腫)治療記録&関連事項備忘録

100万人に1人と言われるユーイング肉腫(希少がん)の治療中のギリAYA世代♂です。同じ病気や、がんになった方の参考までに病気の治療記録と、病気関連の情報の紹介をします。基本的には自分が体験したことなどです。基本方針など詳しくは「このブログについて」をご覧ください。

病気関連読書記録1『がん「エセ医療」の罠』岩澤倫彦

 

※自分の読書ブログに投稿したものと同内容です。)

 

がんの保険適用外治療は、免疫療法含めて、保険適用外を推す記事とかは見かけるけど、推奨しない側はやんわりとしたものが多いように感じる。

なので、患者側からすると、胡散臭い治療とそうでない治療の違いがイマイチ分かりにくいので保険適用外治療に反対側の考えとして参考になるかなと購入

 

 

 

いわゆる免疫療法の批判を中心に、それを許容する現行制度批判にも

大雑把に言うと、保険適用外(自由)診療なのにはエビデンス足りないとか理由があって何だよということ。

この本は、いわゆる免疫療法の批判を中心に、そこから医療におけるエビデンスとそれを軽視する医者(職業倫理に乏しい)の問題や、それを結果的にではあるが許容してしまう現在の医療制度批判になっているような感じ。

フリージャーナリストの方が著者で、免疫療法やってるクリニックに潜入調査みたいなことしてたり、免疫療法やった患者の遺族(患者ご本人は大体お亡くなりになっていることが多い)への取材や、医者への取材(ノーベル賞受賞された本庶佑先生にも取材されている!)も行い記述が構成されている。

裁判の開示記録での証言を見ると宣伝と実際の効果が大きく違ったり、抗がん剤等の標準治療として行っていることから免疫療法の効果なのか判別付かないものも成果に入れていたりするようなこともあり、この辺はやはりジャーナリストの取材のたまものだなあという感

 

保険適用外治療行ってる側は、それが効果がないことが証明できない=効果があるような感じで捉えて宣伝していることが多い(根拠論文もデタラメだったりする場合もあるらしい)が、よくよく考えると「ないことの証明」って悪魔の証明だから、本来的には保険適用外治療行ってる側が根拠を揃えて標準治療になるよう働きかけるべきなんだよね。

患者さん沢山治療してきた実績があって症例も集まってるとか宣伝するならなおさら

 

がん患者側の視点としては、一度冷静になるのに良い本

標準治療の意義や、なぜそれが標準治療になったのか等は、がん患者でも意外と知らなかったりぼんやりしているもので、それがために末期がんになって標準治療ができないときに保険適用外の治療を模索するっていうのはよくあることではある。

で、いざネット検索してみると沢山色々な療法が出てくる(笑)し、どれも基本的には高額で、治療しているクリニック等を見ているとちゃんと医学的っぽいことが書いてあったりして良く分からない。

ネット記事見てると有名人が免疫療法で治ったみたいな記事もちょいちょい出てくる・・・

しかし主治医に聞くと基本的には反対される。

けれど追い詰められて正常な判断ができなくなっている人は、保険適用外治療をする側の意見(日本の医者は既得権益云々で、先進治療に及び腰だから免疫療法嫌がるとか)に流されがちになったりするものである

その状態で選択を行っても基本的には良い選択にならない可能性が高いので、一度冷静になるためにも読んでおいても良いのではないか。

 

なるほどと思ったこと(個人的メモ)

免疫療法の概要(本庶佑先生へのインタビュー)

現在の免疫療法は、アクセル型とブレーキ型に大きく分けられる

アクセル型→免疫細胞の機能を高める

1990年代から2000年の初めまでに、今の自由診療クリニックで行われているアクセル型の免疫療法は、臨床試験をやり尽くされていた状態だった。

血液を培養して戻す免疫療法、がんワクチン、サイトカイン等々様々な臨床試験が行われたが、明確な有効性は出てこなかった。

→つまり、保険適用外治療でやってる免疫療法は別に先進医療ではない!?

ブレーキ阻害型

免疫細胞のブレーキ機能を阻害してがんを攻撃させるという発想のもの。

本庶氏の研究から生まれたオプジーボはこちらの型

 

免疫細胞の寿命は短い

通常の免疫細胞の寿命は約一週間だが、培養して体内に戻した免疫細胞は通常2~3日。

培養した免疫細胞が、がん細胞までたどり着く可能性が極めて低い

静脈に注射されたあと、免疫細胞は肺に12時間~24時間程度滞留し、そのご大動脈を経て、ほとんどが肝臓に集積していた。がん細胞に到達させるためには動脈に直接投与が効果的。

生物の免疫は『ゆらぎ』が大きい

生物には免疫に個体差というかゆらぎがあり、非常に免疫が強い人は、がんになっても自然消滅する場合もある。(がんの自然退縮)

 

丸山ワクチンについて

丸山ワクチンは有効性を臨床試験で客観的に示すことができなかった。

→ワクチンの成分を常に同じに調整することが非常に困難だったため。

現在と一カ月後に使用するものが同じである保証がなく、市販薬にもできないため不承認となった経緯がある。

ただ、効いているという人もいるため、医者の限界なのか、患者の「鰯の頭も信心から

」なのかわからないもの。

 

最近話題の光免疫療法と、民間のクリニックが行っている光免疫療法は別物

最近話題の光免疫療法は、楽天メディカルがアメリカの国立衛生研究所から独占ライセンスを取得し行っているが、楽天メディカルの治療は民間のクリニックでは行っていない。

民間のクリニックで行っているのは1990年代に開発された光線力学療法(早期胃がん等を対象に一部保険適用)に近いものではないかと本書では記載されている。

 

他にも高濃度ビタミンC点滴だったり保険適用外治療を調べると出てくる治療も載っていて有用という感じだった。

 

あとは、免疫療法ガイドラインっていうのがあるのをこの本で知りましたw。

この本を全て信じるかというとそういうわけではない(何か一つの本を読んで全て信じるのはそもそも危険)けれど、保険適用外治療についての自己知識として関連記録か何かで、とりあえずこの本ベースにもうちょっと詳細にまとめて行こうかなと思います。