ユーイング肉腫は、大雑把にいうと50万人~100万人に1人が罹る悪性腫瘍で、いわゆる『希少がん』とされています
診断や標準治療等については、詳しい情報がネット検索すれば出てくるので、ここでは僕のユーイング肉腫への理解を記載していきます。
- 参考になるサイトなど
- ユーイング肉腫について
- 抗がん剤について
- VDC療法について
- IE療法について
- 初発時に転移がある場合について
- 再発・転移の治療については別記事ご参考に(リンク有)
- 5年(無病)生存率について
参考になるサイトなど
国立がん研究センター
ユーイング肉腫〈小児〉:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)
がんプラス
肉腫の適切な診断とステージ別治療 – がんプラス (qlife.jp)
日本ユーイング肉腫研究グループ
がんナビ
発生頻度は少ないが種類が多い骨・軟部腫瘍をどう治療するか:がんナビ (nikkeibp.co.jp)
ユーイング肉腫について
ユーイング肉腫は、『希少がん』とされていて、日本での年間の発症者数は50人程度と言われています。
小児に多いがんであり、5歳~29歳くらいまでで90%くらいを占めるらしいです。(中央値が15歳なので中高生に多いともいえるのかな?)
なので成人(社会人)になってから発病した人の情報が非常に少ないです。
病院で同病の人に会うことは基本的にありません(僕は超珍しく、ありましたが)
小児の患者でも同病の人に病院で会ったことは基本的に無いそうです。
ステージ分類は一応ありますが、基本的には限局性(転移がない)か転移性(転移がある)での分類みたいです。
詳細は、冒頭にあげたがんプラスが分かりやすくまとまっています。
肉腫の適切な診断とステージ別治療 – がんプラス (qlife.jp)
基本的には、
・3~5クール抗がん剤投与
・手術+放射線
・12~14クール抗がん剤投与の流れ
で、手術が難しい場合は、手術+放射線のところが、放射線・陽子線・重粒子線などの選択肢になるようです。
手術・放射線等の後の抗がん剤投与の考え方は、原発部位以外の血中などにも、がん細胞が散らばっていると仮定し、それを消すため(つまり再発や転移の可能性を減らす)の投与とのことです
抗がん剤について
標準療法は、VDC-IE療法で、大雑把にいうと3種類の抗がん剤投与と2種類の抗がん剤投与を3週間おきに交互に投与する治療で、17クール行います。
クール数は、VDCとIEそれぞれ1クールとして数えます。
つまり、全部でVDC9回、IEが8回です。
3週間おきとは、投与開始時から起算します。
たとえば3月1日~3月4日までのスケジュールでVDCを投与したとすると、次のIEの投与は3月22日から開始します。
そのため、順調にいっても、ざっくり10カ月くらいは治療期間かかります。
なお、2週間おきに投与すると生存率が改善されるとの研究が(小児がん分野で)あったようで、ネットで見ていると、ある程度の年齢まで(20代前半くらいまで?)は2週間おきに投与するスケジュールで行う場合が多いみたいです。(伝聞)
抗がん剤投与完了の翌日に、外来でGラスターという白血球を増やす薬を皮下注射するのが一般的です(値段がめっちゃ高い)
また、大体みんな肝臓の数値悪化するので、肝臓の数値下げる薬などを処方されたりします。
VDC-IE療法はアメリカでの標準治療で、この療法の登場により生存率が大幅に改善されたとされています。
日本で標準治療化されたのは、2011年頃のようです。
ヨーロッパではVDC-IE療法以外の療法(VAIDなど)が標準治療のようです。
使われる薬剤等の詳細などについては、再発後の治療方法についての記事である程度詳細に書いているので調べる際のご参考に。
最初の頃は治療法色々と調べたり、場合によっては論文を読むこともあるとは思いますが、上記のようにヨーロッパとアメリカで標準治療が違っていたこと、ヨーロッパとアメリカの大規模比較(VDC-IEが優位)は日本での標準治療化時期と近い時期だったことなどを勘案しながら読まないと混乱することになるので注意が必要
情報収集については別記事もご参考に。
抗がん剤のクール数や投与間隔について
クール数について
全17クールとなってますが、12クールだったり14クールだったりする人もいます(見たなかで一番少ない人は8クールとかいた気がする)
これは、担当の先生に聞いたところでは、
・標準治療は、小児がんの標準治療をそのまま大人にも当てはめている
・全17クールで確立しているが、ほんとに17クールが正しいか(例えばもっと少ないクールではだめなのか)は比較実験するわけにもいかないので分からない
・大人の場合、子どもと比較してどうしても骨髄抑制後の血球などの回復が遅くなり、限界がくることが多い
・(また、例えば14クールとかだったとしても、そのまま再発等しない場合は17クールの人と変わらない人が多い)そのため、各医者が、患者の様子をみながらクール数を決める感じになっている
ような感じの話でした。(伝聞)
投与間隔について
実際は、厳密に3週間おきというよりは、血球の数値(特に白血球のうち好中球の数値)の状態をみて決まります。
後半はどうしても回復が遅くなるため、スケジュールも伸びがちです。
場合によっては、減薬したりして対処する場合もあるみたいです(伝聞)
また、インフルやコロナに罹って延期になる場合もあります。
僕はコロナに罹患して3週間延期になりました。
なるべく3週間おきに投与した方が良いと思うので、皆さんは気を付けましょう(笑)
あと、最初の方に特に理由なく1週間伸びたときがありました。投与予定日が祝日だったからかな?(笑)
Gラスターについて
前述のとおり、抗がん剤投与完了の翌日にGラスターを皮下注射します。
初回注射時にガイドブックみたいなの貰えます。
退院した翌日にまた病院いくので結構面倒なのと、値段が高い!(保険適用で約3万円)
これは、抗がん剤の副作用の骨髄抑制によって白血球(好中球)の数値が落ちるのを軽減+回復を早めるためにする注射です。
(骨髄抑制については別記事参照)
Gラスターの副作用は、個人差ありますが、腰痛や発熱などがあります。
僕は、注射翌日に2~3時間発熱、注射3日後に腰痛(めっちゃ腰が痛くなる)があります。
VDC療法について
概要
オンコビン(VCR)、ドキソルビシン(めっちゃ赤い)、エンドキサン(CPA)を投与します。
投与日程は4日くらいのスケジュールで行っている病院と、1日にまとめて投与するスケジュールで行っている病院があるみたいです。
この違いは、効果の違いではなく、副作用の出方への考え方の違いによるみたいです。
僕の病院は1日でまとめて投与でした。
ネットを見ていると、4日くらいのところが多いみたいです(伝聞)
なお、ドキソルビシンは心臓への毒性が高いため、投与上限値があります。そのため、投与上限値に達したあとは、Dを抜いたVCを投与していることが多いようです。
VAC療法
僕の場合、昔に別の病気でドキソルビシンを上限値まで投与していたため、コスメゲンを代わりに投与するVAC療法(Act-D)でした。
DとAで効果に違いあるんですかと聞いたところ、『あんまり効果に違いはないみたいよ』と言われた覚えがあります(ほんとかなあ?笑)
投与スケジュールは、オンコビン(10分)→コスメゲン(全開で)→エンドキサン(1時間)でした。
投与中の副作用について
可能性のある副作用は色々ありますが(投与前に説明されます)、僕の場合は投与中は基本的には副作用はありません。
ただ、エンドキサン投与中に(大体30分経過~投与完了までの間)、頭がチクチクする、鼻がムズムズして鼻水が止まらなくなるといった症状がありました。
珍しい例らしいですが、知覚過敏?みたいな状態になっているのではとのこと。
投与終わるとピタっと止むので、そのまま投与してます(笑)
IE療法について
概要
イホマイド(イホスファミド)とエトポシドを投与します。
投与スケジュールとしては、抗がん剤を5日間に分けて毎日投与します。6日目は昼くらいまで生理食塩水みたいのだけ点滴し、7日目退院です。
抗がん剤自体の投与時間は毎日4時間くらいですが、他生食食塩水等を一日中投与してます。つまり、5日間は24時間点滴につながれてます。そりゃあCVポートないとキツイですよね。当然、シャワーも浴びれません。
そしてこの抗がん剤、出血性膀胱炎になる可能性があるため、一日の尿量の基準値が設定されます(3リットルくらい)
お小水(小便)毎に尿量測定し、定時に尿のPH測定します。(基準値超えて酸性に近くなると尿酸値下げる薬投与)
初回は排尿時毎回PH測定するため、大変です。
2回目以降は尿量は毎回測定(セルフ測定)しますが、PHは一日4回くらいの定時測定です。
投与中の副作用
大体みんな出るのは、吐き気です。
日を追うごとに強まって行って、3日目からがピークです。また、水分沢山入っているためムクみがでます。
わりと心を折りにくる治療です(笑)
初発時に転移がある場合について
転移がある場合でも、基本的にはVDC-IEをやって、あとは転移箇所の状態によって手術や治療薬変える等の判断になるみたいです(伝聞)
また、自家抹消幹細胞移植を併用して行う場合も散見されます。
自家抹消幹細胞移植については、有用性については賛否両論の状態のようです。
初発時において行うかどうかは主治医との相談や判断によって変わってくると思います。参考までに、ステージ4初発で行った事例の論文を添付しておきます。
縦隔発生ユーイング肉腫に対して自家末梢血幹細胞移植併用高用量化学療法を行い寛解を得た一例(初発:縦隔+胸膜浸潤:右癌性胸膜炎 UICC TNM分類ステージ4B)_pdf (jst.go.jp)
再発・転移の治療については別記事ご参考に(リンク有)
5年(無病)生存率について
60%~70%と言われています。
(5年無病生存率と5年生存率は別の確率なんですが、ネット上だとどちらも5年生存率はとして書かれてたりしてややこしい・・・。5年生存率は、再発や治療中でも5年生きてれば入ります。)
ステージ4(転移性)や再発した場合20%~30%とネット上だと出てきますが、担当医にはもっと高い数値言われた人もいます(伝聞)
このあたりは数値気にしだすと(限局・転移に関わらず)ネット上は落ち込む情報しか出てこない(というか落ち込む情報ばっかり目に入る)ので、あんまり数値は気にせず、治るか治らないかくらいの認識でいた方が良いのではないかと思います。
シャーマンキングという漫画の敵キャラの名言で下記のようなものがあります。
この心持ちでいきたい(笑)
『出来るも出来ねェも全ては「思い」一つなのに 数字ってやつは つい人にそのどっちかを決定づける魔物なんだ』(ザンチンの名言)